「大正金時」 いんげん豆の中で最大の生産量を誇る品種で別名「赤いんげん」とも言います。昭和になって誕生したのに「大正」って少し変ですが、これはこの豆のふるさと、帯広近郊の大正村にちなんで命名されました。帯広から南に延びる国鉄広尾線がまだ廃止される前、「愛国」から「幸福」行きの切符がブームになったことがありますが、大正駅はこのふたつの間にありました。
「大豆」 大豆と単純に言いますが、普通の黄色い大豆の他に黒大豆や青大豆があります。黒大豆はいわゆる黒豆のこと。青大豆はひたし豆やひとりむすめのことを言います。大豆が含んでいる栄養素は多くの分野でトップクラスであり、その意味で「畑の肉」と呼ばれています。その昔「万米」と表現されたことからもわかるようにその粒の大きさからではなく、用途の広さから「大豆」(大きな豆)と言われるようになったようです。
「大納言」 あずきの中で特に粒が大きく皮切れのない品種群のこと。おしるこに向いています。その昔大納言の官位には切腹の習慣がなかったことから名づけられたようです。
「だるま」 お赤飯に使われる「ささげ」の一品種名。文字通りだるまの形をしています。色合いがよく香りも素晴らしいことからささげの中でも特にこのだるまは高く評価されています。岡山県で採れるものが本場物で「備中だるまささげ」などと呼ばれます。8月の旧盆の頃収穫され9月初めには店頭に並ぶようになります。なお「だるま」は品種名ですから必ずしも岡山県で収穫されたものでなければならないということはありません。以前は当店でも岡山産に限り、「備中だるま」の名称を使用していましたが、ささげの生産量の減少に伴い、現在では周辺の広島、香川産などにも「だるま」の名称を使用しております。
「茶福豆」「茶花豆」 中国産のむらさき花豆(大黒花芸豆)を煮たものです。大手煮豆メーカーがこの「茶福」を商標登録し、販売していますが、巷でもこの名称が使われることがあります。
「中間物」 北海道の豆の生産地を大きく3つに分けると、帯広を中心とした「十勝地方」と函館を中心とした「道南」、そして北見を中心とした「道東」になります。
「中間」とは、もともとこのどの地域にも入らない場所という意味で使われていました。よってこの「中間」地域で収穫された豆のことを「中間物」と呼んでいました。3大主産地と中間地帯とでは、主産地で収穫されたものの方が圧倒的に量も多く品質的にもムラがなかったことから需要家からは厚い信頼が寄せられました。しかし小豆が穀物商品取引所に上場されるようになると、3大産地の中でも圧倒的に量も多く質も良かった十勝だけが主産地として一人歩きするようになりました。こうして「中間」という言葉は「3大産地にあてはまらないもの」という意味合いから「十勝でない地域」という意味あいに変化していきました。よって現在では「中間地帯」という言葉は北海道内の十勝地方以外の場所という意味で使われています。
北海道内でももっとも内陸にある十勝地方は昼夜の温度差が大きく、豆にはうってつけの場所ということができます。ここで収穫される小豆は他の地域のものよりも粒が大きく、また色も淡いのでアクの少ない極上品として他の地域のものと区別されて取引されています。
「つるのこ」 北海道産の大粒白目大豆の一品種名。皮むけしにくく甘みの強い「つるのこ」は昔も今も高級大豆の代名詞になっています。1950~60年代からある品種で生産量的には、現在「ツルムスメ」などにその地位を譲っていますが、依然として根強い人気があるのも事実です。また鶴の卵のように白く大きく美しい豆という意味から命名された名前は、あまりにも言葉の響きが良く、「つるのこ」以外の大豆にも「特選品」的な意味合いから使われる場合もあります。
「手亡」(てぼ) 豆の難読名称ナンバーワン!「てぼ」と呼びます。白いんげんの小粒版で、豆としてそのまま使われることはほとんどなく、白あんの原料に使われています。一般の消費者向けにはまず売られていないので、この豆を知っている方はかなりの「マメ通」と言えるでしょう。
「斗」 穀物を計る際の容積の単位。1升(1.8リットル)の10倍。18リットルのこと。
「斗棒」(とぼう) 枡で雑穀を量る時にすり切る棒のこと。最近ではまず見なくなりました。当店にはありますよ。見てみたい方は是非お立ち寄りの際にお声をおかけ下さい。
|